砂漠に野菜を! 生命を増やすHaluの技術

Haluの世界:ブログ記事まとめ1

Haluの世界:ブログ記事まとめ1

Halu農法のブログ記事を公開していますが、その中でHalu農法の知識に関する「Haluの世界」の記事をまとめて掲載しています。いわゆる従来の「自然農法」や「自然栽培」とは異なる、新しい自然観に基づく栽培方法について、理解の一助になれば幸甚です。
(株式会社歩屋 代表取締役 横内 猛)
 

1.完全なる無肥料栽培

新・自然農法とは何か、これまでの自然農法と何が違うのか。本日から、少しずつ記事にまとめていきたいと思います。

まず、新しい農法に「Halu」(ハル)という名前を付けました。ハルは、アイヌ語で「自然からの恵みの食べ物」という意味の言葉だそうです。いままでご支援くださった方々からアイデアをいただき、この名前に決めました。

そして、これから完全な無肥料栽培の考え方や実践方法をまとめるにあたり、「Haluの世界」というテーマで記事をアップしていこうと思います。今回は第1回です。

元新聞記者である私は、自然農法(あるいは自然栽培)に魅せられて取材を始めました。しかし、その仕組みは解明されておらず、好奇心にかられて自分で実践を始めました。打つ手すべてに失敗し、どん底に突き落とされました。現場での学びも当然多かったわけですが、農学の基礎知識、最新研究の情報を調べに調べました。その結果、未知の世界が目の前に開けてきました。

パラレルワールドという言葉があります。パラレルは「平行線」の意味で、私たちが住む現実世界と並行して、登場人物が同じなのに違うストーリーが展開するもう一つの世界があるという説です。SF小説やSF映画が好きな私は、パラレルワールドにあこがれていましたが、いま、まさに自分がその世界に入ったかのような感覚にいるのです。

話を戻します。

現代農業の技術には、化学肥料や農薬を使う「慣行農法」のほかに、「有機農法」や「自然農法」があります。これらは、別々のようにも見えますが、よく観察すると、すべてが同じ流れを持っていることに気づきます。それを図にしてみました。(下図)

パラレルワールド

・慣行農法:人間が化学肥料を投入→植物の養分化→野菜の成長
・有機農法:人間が有機肥料を投入→植物の養分化→野菜の成長
・自然農法:人間が微生物のエサを投入→植物の養分供給→野菜の成長

こうしてみると、共通点が一目瞭然です。人間が「何か」を畑に入れて、次に植物の養分ができて、最後に野菜に吸収される、という一方向の流れがあるのです。

「自然農法には、何も投入しない実践者もいる」と言われそうです。よく聞いてみると、ものすごい時間をかけて、最終的に畑が肥沃になるの待っています。時間を投入することで植物の養分を増やし、それで野菜を育てるのです。だから、「自然農法の野菜は小さい」「自然農法は量産できない」と考えられています。いずれにしろ、養分で野菜を育てるという考え方は、面白いほどすべてに共通しています。

「こいつは何が言いたいのだ? 養分がなけりゃ野菜が育たないじゃないか」

そんな声が聞こえそうですね。私もそう考えていました。だから失敗したのだと、いまだから確信を持って言うことができます。あえて書いてみます。

「野菜は養分で育てるものじゃない」

「じゃあ、何で育てるのだ?」

「太陽と空気と水です」

これがすべての答えです。

ではHaluの世界にご案内しましょう。

ここに、ある言葉があります。
「自然状態にあるかぎり、植物は本質的に共生生物なのである」

ある研究者の書物から引用しました。私はこれを読んだとき、ものすごい衝撃を受けました。「共生」の相手は、もちろん微生物です。そして発想を飛躍させ、「どんな植物にも共生する微生物がいるはずだ。それを見つければ、どんな野菜も肥料を使わず育てることができるに違いない」と仮説を立てました。

結果は、ある特定の畝を成形すると、大気中に浮遊する共生微生物が漂着、繁殖し、野菜と緊密な共生関係を築くことを発見しました。

Halu:人間は特定の畝を成形するだけ→共生微生物が繁殖し植物の養分を供給⇔植物は共生微生物の養分を供給

これが完全なる無肥料栽培の姿です。

微生物と植物の双方向の養分交換、つまり共生関係があれば、人間が「何か」を投入する必要はありません。どんな野菜でも勝手に大きく育ってくれます。大量に、しかも健康に、しかも美味しく。

「いやいやダマされないゾ。どさくさに紛れて変なことを書くな! 植物がなんで微生物に養分を供給しているのだ。やれやれ、この男は頭がどうかしてる」

と思われるでしょうか。今回はここまでにします。

2014年9月4日記
 

2.知っておきたいこと

新規就農を目指すにしても、家庭菜園を楽しむにしても、「これだけは知っておきたい」という知識があります。それは、「植物は、根から養分を放出している」という事実です。

以下は、専門書からの引用です。

「このように根からはいろいろな形で有機物が放出されている。その放出量は無菌状態のときよりも有菌状態のときのほうが多い。有菌状態では作物が光合成で同化した炭素の12~40%が根から放出されるという。土壌の飢えた微生物にとって、これは絶好のエサであり、当然根の周囲に群がる。また、根の防御機能を破れる菌にとっては、根の内部はもっとエサのある空間である」(西尾道徳著、「土壌微生物の基礎知識」農文協刊、p88)
*文中の「光合成で同化した炭素」とはブドウ糖などの糖類を指します。

なぜ、こんな大切なことが、理科の教科書に載っていないのでしょうか。そして、ここまで書かれているのに、なぜ現代の農学は、植物と微生物の共生関係について研究テーマを広げてこなかったのでしょうか。

理由の解明など、いまとなってはどうでも良いのですが、もし理科の教科書にこのことが書いてあったら、たくさんいる子供のなかに、何人かは興味を持って無肥料栽培の研究を進めてくれたはずです。(そうすれば、私は取材するだけで良かったのです。自分で実験を始めてしまい、本当に苦労したんです)

愚痴をこぼすのはこれくらいにして、話を本題に戻します。

「自然状態にあるかぎり、植物は本質的に共生生物なのである」(小川眞著、「作物と土をつなぐ共生微生物」農文協、p76)

植物と微生物はそもそも「「ワンセット」だということです。植物の光合成の働きとは、太陽光を受け、空気(二酸化炭素)と水を合成してブドウ糖をつくることです。

「光合成って、二酸化炭素を吸って酸素を吐くことじゃないの?」

はっきり言うと、それは根本的に間違った理解です。ブドウ糖をつくる過程で、副産物として酸素が余るというだけの話です。そして、ブドウ糖はあらゆる生き物にとっての主食成分ですから、当然、すべての微生物のエサになるわけです。

植物と微生物の共生関係

図の通り、植物は根からブドウ糖を放出し、土壌の共生微生物は、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどをお返しします。

「人間が養分を入れたほうが、作物が早く、大きく育つのじゃないのか?」

残念ながら、人間が養分(とくに窒素栄養)を入れてしまうと、共生微生物たちは養分をつくることを止めてしまいます。最新研究では、そこまでわかってきています。つまり、完全に無肥料で野菜をつくりたいと思うなら、「ほんの少しでも肥料分を入れてはいけない」のです。

植物が養分を放出しているという事実を受け入れるには、覚悟が必要でしょう。たんに表面的な知識として頭に入れたぐらいでは、「肥料(養分)で野菜を育てる」という固定観念は崩せません。その意味で、この事実をどう受け止めるかが、Haluの世界に入るためのチケットのようなものだと思います。

完全な無肥料栽培に興味を持てない方にとっては、きっと混乱が増すばかりだと思います。これ以降、このブログを読んでくださる方には、そのことをぜひご承知おきください。

2014年9月5日記
 

3.量産できなきゃ意味がない

「植物は、根から養分(ブドウ糖)を放出している」という事実を、真正面から受け止めていただけたでしょうか。外で植物を見たとき、「ああ、みんな根っこからブドウ糖を出しているんだよなあ」と思えるようになれば、Haluの世界に入るチケットを手に入れたことになります。

ようこそ「完全無肥料」のHaluの世界へ。

さて、唐突ですが、私自身が取材者から実践者へと転身した理由は、「無肥料栽培」、つまりゼロコストで野菜ができれば、世界から飢餓をなくせると直感的に思ったからです。そんな私にとって、「自然農法」は、単一作物(モノカルチャー)を大量生産(集約農業)できる技術でなければ意味がありません。しかも、収量は慣行栽培並かそれ以上に。

「自然と一体になって、自給自足生活を楽しむ」という生き方にスポットライトが当たりがちな世界ですが、私はあくまで「量産できなきゃ意味がない」と考え、そのための技術を模索してきました。

もちろん、この世界の「ほんの一部」が見えただけだと思います。しかし、このほど特許出願した無肥料栽培の技術「Halu」は、ゼロコストで野菜を大量生産するためのものであると、初めにお断りしておきます。(特許は2015年7月に取得済みです)

新規就農希望者は好きな作物を大量生産できます。家庭菜園希望者は多品種少量生産できます。農的な生活? もちろん、それを楽しむこともできるはずです。

ミズナ収穫

肥料を使いたいという人は、化学肥料でも有機肥料でも使って良いと思います。農薬を使って「きれいな野菜をつくりたい」という人は、農薬を使って良いと思います。自分は「緑肥派」だという人は、緑肥を使って良いと思います。

だれだって、自分が良いと思う方法で野菜を作れば良いのです。

もちろん、世界にたくさんいる農業者(家庭菜園を楽しむ人も含め)の1人にすぎない私だって、自分の思う通りに野菜をつくりたい。ただそれだけの話です。

ただし、「まったく何も使わず野菜をつくりたい」と考える人には、「ぜひいっしょに取り組みましょう」と言葉をかけたいと思っています。そのために、このブログで情報発信しています。

今年、私や家族は、かれこれ2か月近く、毎日スイカを食べています。不思議と飽きないのです。先日、職場で市販のスイカを食べる機会があった妻の話です。「最初の一口食べたとき、すごい雑味を感じた。きっとあれは肥料の味なんだと思う。一切れは我慢して食べたけれど、二切れは食べられなかった」

また、長年、スイカが食べられなかった女性が、「このスイカは食べられる」とおっしゃってくださったと報告をいただきました。

先日、畑を訪れた知人のお嬢さん(1歳8か月)が、スイカの外側の皮まで、無心で食べてくれました。私は、こんな素晴らしい光景に出会えて、幸せな人生を送れていると確信しました。

2014年9月6日記
 

4.必要な微生物は大気中にある!?

自然状態にある限り、植物は本質的に共生生物である──。自然状態ということは、完全な無肥料栽培の畑と同じイメージです。そして、植物は、根から養分(ブドウ糖などの糖類)を放出しています。

ずミズナの生育状況

しかし、農作物と共生する微生物が、そう都合よく土壌中にいるものでしょうか。実験しているあいだ、私がもっとも不安に感じていたのがそのことです。「植物が共生生物」であるとしても、共生する相手が常に目の前にいるのなら、世界の農業はすべて無肥料栽培になっているはずです。しかし、現実はそうではありません。

世の中には、有用微生物とうたった資材がたくさん開発・販売されています。いくつか試してみたものの、効果は感じられませんでした。どうすれば、共生微生物を畑に繁殖させることができるのか。

結論からいうと、本当に偶然の出来事でした(これも一種の必然だという方もいらっしゃいますが・・・)。

堆肥も、緑肥も、微生物資材も、何も使わなかった畑でミズナが成長を始めました。写真は2012年の秋のことです。ベビーリーフ用に種を播いたところ、ミズナといっしょに雑草も発芽しました。ところが、雑草は発芽したまま成長が止まってしまい、ミズナだけが成長しているではありませんか。

これはもう、土壌中の微生物の働きとしか考えられません。土の中に、ミズナと共生する微生物が繁殖している。しかも、その微生物は雑草とは共生していない、ということです。さらに、私は何の資材も入れてないので、共生微生物は大気中を浮遊し、畑に漂着したものだと推測されました。

そこから仮説を立て、検証を続けてきたのです。いまは確信しています。大気中には、想像を超えるほど多くの共生微生物が存在し、常に畑に降り注いでいると。その微生物を効果的に繁殖させることができれば、肥料を使う必要はありません。もちろん、健康な野菜ができますから、農薬も不要です。

あとは、どうすれば、共生微生物がうまく繁殖してくれるかです。

2014年9月7日記
 

5.畑の匂い

良い土の条件とは?

水はけがよく、水もちがよい。あるいは、団粒構造が発達しているなど、いくつか常識化している表現があります。なかでも「匂い」については、森や雑木林の土に共通している「放線菌の出す匂い」が強いほど「良い土である」と言われます。

ところが、Haluの土は、あまり「匂い」がありません。今日も、スイカの片づけをして、耕運機で耕しましたが、雨上がりだというのに、ほとんど土の匂いがないのです。つまり、「この畑には、放線菌があまりいない」ということになります。

放線菌がいないということは、放線菌のエサとなる窒素系の有機物(家畜糞や魚粉など)がないという証明です。もちろん、土壌微生物が増えると、微生物を食べる小動物も増えてきますから、その死骸を食べる放線菌がある程度はいるはずです。しかし、私たちの嗅覚を刺激するほど数は多くないのだと思われます。

それでもスイカは量産できます。味も良好です。

畑の匂いは、「肥料(養分)」で野菜が育っているのか、それとも「微生物との共生」で育っているのかを判別する優れた判断材料です。繰り返しますが、完全なる無肥料栽培の畑の土は、ほとんど「匂い」がありません。共生微生物には匂いがないのです。

2014年9月10日記

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