Haluのプロジェクト
協力金と事業の流れ

2022年からスタートしたプロジェクトは、当初の「Haluサバイバルプロジェクト」、次に「那須塩原プロジェクト」、現在は「未来の郷プロジェクト」へと名称変更しました。これまでに事業内容も多くの変化、変更を経ていまに至ります。これまでの協力金と事業の流れをご報告します。
※随時更新

プロジェクト協力金

農業技術研究所歩屋の会計上、長期借入金「プロジェクト協力金」という勘定科目で、千葉信用金庫我孫子支店に専用口座を設け、入出金を一括管理しています。以下、入金状況を一覧に示します。
協力者はアルファベットで表記
当初目標金額は3億円
達成資金2,480万円(2025年11月現在)

★Haluサバイバルプロジェクト
2022年入金額合計
4/26A氏¥1,000,000¥1,000,000
5/10B氏¥300,000¥1,300,000
5/11A氏¥5,000,000¥6,300,000
5/12C氏¥100,000¥6,400,000
5/13D氏¥200,000¥6,600,000
5/19E氏¥100,000¥6,700,000
5/23F氏
5/23G氏¥1,000,000¥7,700,000
5/26H氏¥100,000¥7,800,000
5/31I氏¥200,000¥8,000,000
6/3J氏¥100,000¥8,100,000
6/14K氏¥100,000¥8,200,000
6/19L氏¥100,000¥8,300,000
6/21M氏¥100,000¥8,400,000
6/22N氏
6/24O氏¥200,000¥8,600,000
8/29P氏¥200,000¥8,800,000
10/3Q氏¥100,000¥8,900,000
11/30R氏¥200,000¥9,100,000
12/20S氏¥100,000¥9,200,000
12/28L氏¥100,000¥9,300,000
2023年
1/8T氏¥100,000¥9,400,000
★那須塩原プロジェクト
4/12U氏¥100,000¥9,500,000
6/18V氏¥500,000¥10,000,000
7/9S氏¥300,000¥10,300,000
7/11S氏¥300,000¥10,600,000
7/12S氏¥100,000¥10,700,000
11/21W氏
11/23X氏¥100,000¥10,800,000
11/24A氏¥600,000¥11,400,000
11/24Y氏¥100,000¥11,500,000
11/24Z氏¥100,000¥11,600,000
11/27AA氏
11/28B氏¥200,000¥11,800,000
11/29U氏¥100,000¥11,900,000
11/29J氏¥100,000¥12,000,000
12/2AB氏¥200,000¥12,200,000
12/4AC氏¥1,000,000¥13,200,000
12/4L氏¥100,000¥13,300,000
2024年
1/4AD氏¥100,000¥13,400,000
1/5AE氏¥100,000¥13,500,000
1/8S氏¥100,000¥13,600,000
7/11AB氏¥2,000,000¥15,600,000
10/21AF氏¥100,000¥15,700,000
12/27AB氏¥5,000,000¥20,700,000
2025年
1/7A氏¥600,000¥21,300,000
★未来の郷プロジェクト
11/4C氏¥500,000¥21,800,000
11/22AB氏¥3,000,000¥24,800,000

プロジェクトの経緯

★Haluサバイバルプロジェクト始動

始まりはオンラインコミュニティ(2021年1月)

完全な無肥料・無農薬で農作物を栽培する研究を続けてきた当社では、「ただ野菜を育てる技術研究」に取り組んできたわけではなく、「私たち人類が安心して世代をつなげられるだけの食料の生産・配分」をも視野に入れた取り組みを続けてきました。

コロナパンデミックをきっかけにして、気候変動や世界情勢の不安定化、国内経済の落ち込みなど、不安要素が次々と現れてくるなか、仲間とともに困難を乗り越え、サバイバルしていく計画を立てました。そして、当社の理念に共感してくれる仲間に呼びかけ、「Haluサバイバルサロン21」を立ち上げ、ともに新しいコミュニティづくりを目指しました。

2022年には、いよいよ具体的に多くの人間がともにサバイバルしていける拠点(古民家など)を設け、周辺の農地開拓から食料を確保していくイメージで「Haluサバイバルプロジェクト」を発足し、購入資金や農場整備費として協力金を募りました。

募集形式は1口10万円の無利子貸付

当初は、あまり経済的な負担が重くないようにするため、1口10万円とし、10年間無利子で歩屋に貸し付ける形を選びました。実際に農産物を生産できるような農場整備や古民家の購入などには大きな資金が必要であり、目標額は3億円としました。

千葉県鴨川市の物件視察会(2022年3月)

資金が700万円ほど集まったとき、千葉県鴨川市に拠点をつくる企画が持ち上がり、農地付きの古民家の売り物件を視察しました。良さそうな物件でしたが、リフォームや農地整備を含めると、最低でも1,000万円は必要でした。古民家は700万円で売り出されていて、物件だけは購入することが可能でしたが、整備する予算が取れず、資金の集まりも伸び悩み、拠点整備は保留となりました。

お米の仕入れ販売とオリジナル味噌

拠点整備は保留となりましたが、サバイバルの最も重要な要素は「食料」です。とくに主食である米の生産と確保は最優先課題でした。私たちは野菜は育てる技術を持ちますが、主食であるお米はまだつくれません。そこで、信頼できる生産者とつながりを持ち、お米を仕入れて仲間で分け合うこと、さらには素晴らしい原料でオリジナルの味噌製造に着手しました。このとき、最高品質のお米と味噌が確保できました。

★那須塩原プロジェクトへ
稲作の取り組み
仲間が少しずつ増え、お米の取扱量も増えてきました。そこで、「次は自前のお米を」という機運が高まり、つながりのあったお米農家に稲作を習うため、栃木県那須塩原市に社宅を借り、拠点整備の第一歩を踏み出しました。同時に、当初、千葉県鴨川市での拠点整備を進める予定でしたが、2023年3月、候補地を那須塩原市に変更しました。

ヒツジとヤギと(新規事業)

稲作を学ぶために那須塩原市に社宅を借り、歩屋代表が単身で現地に入りました。その際、「毎日米づくりの作業があるわけではないので、ヒツジを飼ってみないか」と提案を受けました。もともと、新しい社会づくりには家畜の飼育も視野に入っていましたので、良い学びの機会だととらえ、ヒツジとヤギを試験的に飼育することになりました。

ただ、新たに家畜を飼育するほど資金の余裕はありませんでしたので、牧場や飼育小屋の整備は、材料を購入して、すべて手作りで対応しました。単管パイプと波板の屋根で小屋を建て、放牧区画の囲いは単管パイプの支柱とワイヤーフェンスを手作業で張り巡らせ、ヒツジ5頭、ヤギ3頭の飼育研究を始めました。途中から、那須塩原市と2拠点生活を始める人、住所を現地に移して移住を実行する人も出てきて、仲間とともに拠点づくりは動き始めました。

死と誕生

野菜づくりから一転、大型動物の飼育という未知の世界に飛び込んでみたものの、長い畜産の技術やノウハウも知らないまま参入してしまい、良かったこと、まずかったこと、いろいろ経験できました。良いことは、現代の獣医学にも人工的な餌にも、飼育方法にも頼らず、Halu農法の理論を使って飼育できたことでしょう。自然出産で元気な子羊も生まれるところまでたどり着きました。

大変だったのは、ヒツジやヤギの突然死です。もともと私たちの牧場で生まれた個体ではないためか、いきなり「自然状態」で生きるのは大変だったのかもしれません。大型動物の死は、これまでの生活になかった場面でしたから、死体の処理など、かかわってくれた仲間にとって、辛い経験でした。ただし、この経験が「自然」に向き合う心構えも示してくれたとの感想も印象的です。

稲作の挫折

稲作の学びについては、多くの収穫がありました。そして結論から書きますと、「新規で稲作に飛び込むのは無謀である」ことがわかりました。最大の問題は栽培、収穫、出荷準備に至るまで、高額な機械設備がたくさん必要であり、新規で準備するには多額の資金(中古でそろえるにしても、最低1,000万円~2,000万円)が一括で必要になります。

2024年春、稲作はこれ以上深く取り組むのは難しく、稲作の合間に取り組むはずだった家畜の飼育作業が重くのしかかりました。大型動物の飼育は、稲作に新規に取り組むのと同様の設備投資、人材確保が必要だということも学びました。ここから、どのようにサバイバルの拠点づくりを進めていくか、根本的に計画を練り直す必要性が出てきました。(あきらめたわけではありません)

養鶏チャレンジ

2024年夏、ヒツジの自然出産は可能であり、子羊を1頭出荷するという実績も積むことはできました。しかし、このまま羊の飼育を拡大していくには、高いハードルがありました。それは「放射能問題」です。福島原発に近いため、栃木県全域に「野外での放牧家畜は出荷禁止」であることを後から知ることになり、少なくともヒツジ、ヤギの放牧は現地で事業化できないという結論になりました。

そこで浮上したのは自然養鶏です。ヒツジとヤギのために準備した放牧区画は、そのまま鶏の放し飼いに利用できます。また、一般の食肉用には飼育できませんが、仲間のなかで「自家消費」としての卵の生産なら可能です。初めは研究レベルで数も少ないので、現地の家畜保健所にも相談しながら自然養鶏の研究に切り替えました。自力で鶏舎もつくり、国産種のヒナを購入して飼育を始めたところ、ヒツジとヤギの飼育経験を積んだ仲間は、苦も無く養鶏に対応し、見事な鶏卵を収穫するまでになりました。

自然養鶏は千葉県我孫子市の本社農場でも試験的に飼育を始め、獣害などで個体がどんどん減りながらも、鶏たちのたくましく生きる姿を見せてくれています。自然養鶏は、Halu農法に親和性があると思われます。

畑地開拓へ

2024年3月、ヒツジ、ヤギの飼育を続けつつ、同時並行的に養鶏の研究をスタートさせました。また、稲作の本格的な開始は時期尚早との判断から、あらためて現地にて畑作のための農地拡大を進めました。これまでも、牧場の空いた場所で大根や小松菜の栽培は順調でしたので、歩屋の本来の事業である畑作に、しばらく力点を置くこととしました。

現地にて、古民家の購入・整備まで進めたいところでしたが、資金が十分に集まらず、しばらくは「農地の拡大と生産」に集中することにしました。同年2024年夏には、地元の方の計らいで、牧場に近い場所で7,000㎡の畑を借りることができ、栽培準備に入りました。

獣害という困難

Haluの事業には「提携農場」があり、福岡県の提携農場から、ひどい獣害に悩まされているという報告をかねてより受けていました。山が近い那須塩原市の畑も、シカ、イノシシ、サルの食害がひどく、せっかく順調に育っても、ほとんどが食べられてしまいました。例えば大根を育てていると、まず葉っぱが機械で刈り取ったように平らな状態になるまで食べられます。葉っぱがなくなると、次はサルが大根の根のほうを食い散らかすといった状況です。

那須塩原市の拠点づくりは、2023年春からすべてのチャレンジで何らかの問題が生じました。ただし、獣害を除けば、上質な野菜がたくさんできることもわかりました。とすれば、獣害の少ない農地をさがすことで問題は解決できるはずです。あきらめずに良い条件の農地を探すことにしました。

オリジナル醤油の仕込みへ

このプロジェクトは、那須塩原市の拠点整備のほかに、「最低限の生活が維持できる自然食を確保する」という大事な目的があります。お米、味噌がそろったいま、次はオリジナル醤油をつくる段階です。このときに、最も気を遣うのは、最高の原料を確保することです。以前から応援していただいているオーガニックスーパー「クランデール」さんのご紹介で、最高品質の大豆と小麦を仕入れる道が開けました。この原料を使って、2023年7月に、オリジナル醤油の仕込みを始めました。完成までは1年半かかるとのことで、出来上がりを楽しみに待つことになりました。

発酵調味料である味噌は約1年、醤油は1年半という熟成期間を要します。そのため、製品化まで多額の先行投資が必要になり、プロジェクトで集まった資金は、那須塩原市での家畜飼育と畑地の開拓、調味料の仕込みにほとんどを投入しました。

倉庫の整備

これまで、自然米の仕入れ販売やオリジナル味噌の製造など手掛けてきましたが、夏場の保管に苦労しました。味噌は常温でも発酵が進んで、むしろ「二年味噌」「三年味噌」として味わうことができますが、やはり夏場の高温に対応するための冷蔵庫や、大量の穀類や醤油などの加工品を保管する倉庫が必要になりました。そこで、2025年3月、那須塩原市に倉庫(冷蔵庫を含む)を建てました。こちらは、銀行からの借り入れで対応しました。オリジナル醤油「仙人醤油」も出来上がり、倉庫に搬入することができました。

基本食料の確保完了

2025年春にオリジナル醤油が出来上がり、私たちの生活に必要な米、麦、大豆、味噌、醤油、各種野菜がすべてそろいました。すべての原料が完全な無肥料・無農薬です。このプロジェクトを企画した「サバイバル」の条件がようやく整いました。このことは、緊急時のサバイバルはもちろんですが、これから5年、10年、さらに100年先まで生活することができる基盤でもあります。食料生産の基盤を海外からの輸入に依存する「深刻な弱点」がすべて解消されたのです。

なぜそう言えるのかというと、これらの原料を栽培するためには、石油の輸入が止まっても「手作業で補える技術」を基盤にしているからです。発酵調味料も電気やガスを使わずに製造できる、まさに日本の伝統技術を基盤にしているからです。野菜も同じです。私たちは、どんな野菜であっても、すべて手作業で育てる技術をすでに持っています。

加工品チャレンジ

基本食料が整いました。となると、次の展開は加工品です。味噌、醤油は加工品ではありますが、これは日々の食生活に欠かせない調味料です。それ以外の加工品として、日々の生活を豊かに彩るものと考え、現時点でそろう原料をもとに、安全で美味しい加工品を創る企画を立て、チャレンジしています。具体的には、「小松菜パウダー(青汁用)」「人参パウダー」「玄米粉」「白米粉」「小麦粉」「うどん」「醤油せんべい」を創作(委託製造)し、販売を始めました。

稲作再チャレンジ

本格的な稲作の参入は、資金的にも人的にも難しく、保留状態でした。その一方、Halu農法での野菜づくりを実践している仲間が、2024年に完全手作業の稲作を小規模で始めており、Halu農法の稲作バージョンを開発する目的で2025年に茨城県つくば市で田んぼを広げ、稲作の本格参入の準備をスタートさせています。本プロジェクトから独立した取り組みではありますが、今後、合流していくことになるでしょう。

★未来の郷プロジェクト

拠点整備へ

基本食料がそろい、倉庫も整備できました。集まった原料でさまざまな加工品を製造する流れも起こすことができました。残る道は、「拠点整備」と「農地の拡大・生産」です。那須塩原市に隣接する矢板市(境界)に理想的な農地付き古民家が見つかり、購入する計画が進行中です。そこで、那須塩原プロジェクトを「未来の郷プロジェクト」に名称変更し、協力金を募ることになりました。2022年にプロジェクトを開始してから、ようやく自前の拠点ができます。

この拠点が稼働すれば、福祉(グループホームや作業所)や教育(自然塾)の新たな取り組みも可能になります。それらの事業も実現化のために着々と準備を進めています。

【 代表より 】

私たちの取り組みに、公的な補助金は一切含まれていません。「資金提供」「資金+行動提供」「行動提供」のどれかを選んで参加してくれる仲間とともに、新しい社会づくりを進めています。共通するのは「未来への思い」です。緊急時のサバイバルは、もちろん重要な視点ですが、もっと大事なのは「いつまでサバイバルするのか?」という「時間軸」だと考えています。3日持てば良いのか?それとも1か月持てば良いのか?

私たちの目指すサバイバルとは、100年、1,000年でも続けられる生命活動を意味しています。それは「未来社会の創造」と言い換えることも可能です。そのため、手掛けている事業はたんなる食料生産ではなく、食料備蓄でもなく、子育て、教育、医療、福祉に至るまで、人間生活に関するあらゆる分野が視野に入っているのです。すべては、これから生まれてくる子孫の幸福と繁栄を願って。地球に生きるすべての生命の幸福と繁栄を願って。
農業技術研究所歩屋
代表 横内 猛

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