自然農法を学ぶ心構え
自然農法を学ぶには
新しく自然農法を学ぶには、何から始めれば良いでしょうか。あるいは何をどうすれば良いでしょうか。まずは、「自然農法」あるいは「自然栽培」という言葉をインターネットで検索し、関連記事を読んだり、動画を視聴する。そして、書物を購読する。これが最も普通だと思います。
すでに情報はたくさん出回り始めています。自然農法に実際にチャレンジする人は確実に増えているでしょう。では、それなりの効果は出ているでしょうか。
残念ながら、自然農法の実践は難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。そこで、新しく自然農法を始めたい──という方に向けて、効果的に学ぶための方法を提案します。
歩屋代表 横内 猛
参考動画1
参考動画2
先駆者の実践や教訓を一度忘れてみる
自然農法、つまり肥料も農薬も使わない農業技術は素晴らしいものです。しかし、なかなか一般に広がらない理由は何か考えてみました。ひとつの結論として、偉大な先駆者の実践論や理論に縛られ、考え方に柔軟性が失われていることが大きな原因になっているのではないか、と考えました。
私自身、奇跡のリンゴを生み出した木村秋則さんのドキュメンタリー(1996年放送)に刺激を受け、福岡正信さん、岡田茂吉さんといった先駆者の実績を学び、あとに続く多くの実践者の話を聞き、自分でもいろいろ模索してきました。
しかし、どの方法も一般性に欠ける、つまり「誰にでもできるのか?」あるいは「どんな場所でもできるのか?」といった疑問には答えてくれず、いわゆる再現性には乏しいものでした。要するに、私自身について言えば、それまでに学んだすべての方法で失敗し、借金をただ重ねてしまったのです。
自然農法は、そもそも目の前にある
農業の歴史は1万年前にさかのぼるそうです。その当時は、どう考えても自然農法で農業を営んでいたはずです。当時は肥料もなければ、農薬もありません。先生もいないし、テキストもありません。しかし、ご先祖さまが種を播いて、作物を収穫していたからこそ、私たち人類は繁栄し、豊かな文明を満喫できているのです。
そう考えてみると、いま必要なのは先駆者の知恵ではなく、ご先祖さまたちが生きていた当時の地球の環境を知ったり、農業が始まる以前の植物(作物のご先祖)や人類種の食習慣について調べたりすることが必要なのではないか。そう気づいて、一から学び直しました。
Halu農法は自然農法のひとつに分類されますが、農学を基本にできた技術ではなく、生物学や地球物理学を基本にしてできた技術です。
いま、私の畑には多くの人が出入りするようになり、農作業は初めてという人でも、立派な野菜や果物を育てています。私よりもはるかに上手く作物を育てることができています。ということは、自然農法を実践することは難しいことではなく、間違いなくだれにでも可能だということだと思います。
そして大事なことは、いままで学んできた常識を一度忘れて、まっさらな状態で農業について学ぶことだと思っています。
邪魔になる固定観念
学校で教わってきた理科の知識は、そのまま当てはまるでしょうか。残念ですが、自然農法を理解するには、過去の知識は邪魔になるばかりです。
たとえば、Halu農法基礎講座では、「光合成の働きとはどんなものでしょうか?」という質問から始まります。一般には「酸素を吸って二酸化炭素を吐く」といった説明を聞くことが多いですし、理科の教科書には「でんぷん質をつくる」といった表記もあります。このような知識だと、自然農法を科学的に理解することはまず不可能だと思います。
それならば、いっそのこと何も考えず、ただ種をまき、苗を植えるほうが良いかもしれません。
参考動画3
空気の流れと水を意識する
自然農法で野菜や果物を育てるには、空気と水を常に意識することが重要だと考えています。つまり、土の中に空気の流れをつくり、適度に水分を保たせることができれば、作物はよく育つようになります。
特許技術についてのページでご紹介しているように、高畝を成型すれば、空気の通りがよく、適度に湿度が保たれる環境を維持することができます。とはいえ、最近の異常気象は気になります。夏場の酷暑で土が乾きすぎる場合は補水が有効です。(大雨の場合は、大丈夫です)
もみ殻やら米ぬかやら
以前から「米ぬかを施していますが良いでしょうか?」とか「腐葉土はどうですか?」と質問されます。何も投入せずに作物を育てる技術を研究しているので、「何を入れれば良いか?」という質問に答えられません。それは、有機農法の専門家にお任せいたします。
自然農法を科学的に考え、だれにでも可能な技術として再現性を持たせる。その一点で研究を重ねてきました。その理論は、まだ仮説にすぎませんが、再現性はかなり高まっていると思います。種をまけば育つ。苗を植えれば育つ。そんな実体験を、1人でも多くの方に味わっていただきたいと思います。
*自然農法の理論に興味がある方は、基礎講座や自然農法ノートの購読をご検討ください。
*いますぐに始めたいという方は、ぜひオンラインサロンあるいはオンライン講座にご参加ください。農業や園芸は初めての方を想定したインターネット・コミュニティです。